南北海道大会が3日、開幕した。苫小牧中央は知内を2-0で下し、初戦を突破した。

プロ注目の最速146キロ左腕、根本悠楓(はるか=3年)が先発して、被安打4の完封。徹底した根本対策を取った相手の上をいく投球で地区からの連続完封を3に伸ばした。

昨春全道王者の駒大苫小牧、昨秋8強の東海大札幌も2回戦に駒を進めた。

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札幌円山初見参の苫小牧中央のエース左腕、根本が堂々たる投球を披露した。最後の打者を遊飛に打ち取ると、小さく左拳を握った。毎回の11三振を奪い、被安打はわずか4。完封劇で道大会初勝利を挙げ「調子は良くなかったけど、徐々に慣れて楽しめました」と初戦突破を喜んだ。

想像の“はるか”上をいった。知内は根本対策を講じていた。地区大会の映像を分析し、白地に苫小牧中央のロゴをあしらった自作のユニホームを作って1年生左腕に着させ、根本を模したフォームで投げさせる打撃練習をしてきた。根本は「地区だと振らせていたスライダーを見逃され、やりづらさはあった」と感じたが「いつも通り平常心で投げた」。追い込んでからは分析されていたスライダーで押し切り、三振を量産した。

この日を含めて3戦連続完封。地区から4試合計35奪三振で、無失点は28イニングに延びた。日本ハムなどプロ10球団14人のスカウトが見つめる中でも「意識しなかった」と淡々と自分の役割をこなした。同球団スピードガンで141キロを記録した直球に加えて「変化球の使い方がうまい。初の道大会でも緊張もなくいつも通り投げていた」と白井康勝スカウト(51)。8回1死には一塁走者をけん制で刺すなど冷静なマウンドさばきで2点差で追う相手を寄せ付けなかった。

全国中学軟式野球決勝で完全試合を達成し、白老白翔中を優勝に導いてから3年。甲子園の夢がついえた夏は、成長を示す夏でもある。5日の準々決勝は昨年3度対戦し、3度完投負けした駒大苫小牧が相手。根本は「この夏は全勝を目指してやっている。3回負けている相手。次こそは絶対に勝つ」。道内NO・1左腕の称号を、自らの力で証明する。【浅水友輝】