したたかな起用と準備で、東海大相模が“東海大対決”を制した。昨秋関東大会準々決勝で敗れた東海大甲府との1回戦は、大方の予想を覆し、背番号「18」の右腕、石川永稀投手(3年)が先発。エース左腕の石田隼都投手(3年)をリリーフ待機させ、2人の1失点リレーで接戦を制した。打線は、昨秋苦しんだ相手左腕の若山を延長の末に攻略。投手寄りに立って打つ練習を重ね、リベンジした。
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使命を果たした石田は、思い切りグラブをたたいた。2点勝ち越した後の11回裏、最後の打者を直球で見逃し三振に仕留めた。「石川がいい投球をしていたので。よかったです」と喜んだ。
先発は、プロも注目する石田ではなく、背番号18の石川だった。開幕2日前に登録変更され、メンバー入りしたばかり。昨秋は地区予選で1イニング投げただけだ。応援に訪れた父忠永さん(49)も「想像してなかった」と驚いた。だが、門馬敬治監督(51)は「当たり前に起用しました」。状態、表情、言葉、あらゆる要因から「充実度が感じられた」からだった。結果だけが、監督の想像を超えた。「3回まで」のつもりが、最速144キロの直球を軸に7回まで0を並べた。8回に同点を許すも、十分すぎた。ロースコアを見越し、余力のある石田を取っておく狙いもはまり、延長戦をモノにした。
左が右となり、背番号1が18に。奇襲に映るが、門馬監督は否定する。「そういうことを考えてしまうと、自分たちがなくなる。あくまで自分たちがどうか」と強調した。もっとも、東海大甲府ナインは石田とみていた。「動揺した」の声も。自分たちを貫き、結果的に相手を揺さぶった。
相手に合わせたのは、打線の方だ。昨秋は打席の後ろ寄りに立ったが、この試合は前寄りに立ち、左腕若山の角度を消した。11回に二塁打を放ち、決勝ホームを踏んだ監督の次男、功外野手(3年)は「同じ相手に2度負けられない」と力強かった。日本一への最初の白星を、したたかにつかんだ。【古川真弥】
▽東海大相模・石川(8回を6安打1失点)「朝、先発を言われました。やっときたかと。相手は石田対策をしていると記事で見たので、驚く。後ろに石田がいる。1球1球、つなぐ思いで投げました」
◆昨秋関東大会準々決勝VTR 東海大甲府は1点を追う9回裏1死一塁から4番木下の右前打で一、二塁とし、5番久井が外の真っすぐを右前へ。東海大相模の右翼・伊藤は目の前で大きく跳ねた打球を後逸。三塁打となり、2者が生還。東海大甲府が逆転サヨナラ勝ちで準決勝に進出した。

