昨秋の県王者、加茂暁星は越智勇太郎右翼手(3年)がリストの強さを生かした長打力で打線を引っ張る。冬場に行った部員30人での「チーム全体で1日5万スイング」で強化され、打球の飛距離も伸びた。春は4回戦敗退も、夏に再びの県頂点、初の甲子園出場に挑む。13日の初戦2回戦は新潟南-村上桜ケ丘の勝者と対戦する。

越智は鋭い目つきでロングティーを繰り返す。打球は外野フェンスに吸い寄せられるように伸びていく。高校入学当初からほかの選手の誰よりも「手首が強い」といわれていた。「下半身を使って打つより、手首の返しで打つ方が得意」と言う。そのリストは入浴時に浴槽内での100~200回の屈伸で鍛えている。さらに、冬場は部員30人のチーム全体で1日計5万スイングという練習もこなす強化で、打球の飛距離も伸びた。

4回戦で敗退した春季県大会では3試合で6番を打ち、12打数4安打で3打点をマークした。4安打中3本が三塁打。中堅、左中間、右翼と広角に放った長打で打線をけん引した。高橋諒監督(27)は「チームの大事な場面で、勢いづけることができる打者」と信頼を寄せる。春季大会3回戦の開志学園戦、0-0の5回裏に先頭で右翼フェンスを直撃する三塁打。攻撃の口火を切り、それまで1安打だった打線を乗せ、5-4と勝利に導いた。

昨年の秋季県大会は学校の創立100周年を初優勝で飾った。だが、春季県大会は優勝した新潟産大付に4回戦で対戦し、4-6で競り負けて秋春連覇は逃した。高橋監督は「もう1度優勝を。そして甲子園初出場を決めたい」と言う。チームの成長に手応えを感じている。打線のキーマンとなる越智は「大事な場面で1本打って、欲を出さずに1つ1つのプレーをしたい」と夏への決意を口にした。【飯嶋聡美】

◆越智勇太郎(おち・ゆうたろう)2003年(平15)12月12日生まれ、神奈川県出身。神奈川・柿生中出。小1の5月から下麻岡少年野球で野球を始める。中学時代は麻生ボーイズに所属。中2春から右翼手で、中3夏の横浜市長杯で優勝。加茂暁星では2年春からベンチ入り。175センチ、73キロ。右投げ左打ち。