<高校野球和歌山大会:日高中津10-4慶風>◇2回戦◇紀三井寺

慶風(けいふう)の短い夏が終わった。日高中津に4-10。だが、劣勢の中で輝きを放つ選手がいた。4番の雪野大斗(ゆきの・やまと)捕手(3年)だ。遠投約100メートルの強肩で、中堅から本塁へ矢の送球を連発し、二塁走者の突入を防いだ。その後、左翼を経て本職の捕手に就くと、今度は盗塁阻止を目指して二塁へ鬼肩を発動した。

小学4年で野球を始め、中学時代は大阪のあべのボーイズでプレー。高校は兵庫の相生学院に進んだ。だが、1年時に退部。「ちょっと違うかなって。いろいろとありました」。2年時、和歌山の慶風に転校した。

「野球も何もかも、する気がなくなった」。野球を続けるつもりはなかったという。だが一度だけ、体験会に参加。その後、両親の「だまされたと思ってやってみ」という後押しも受け、野球部入りを決意した。

転校後、1年間は公式戦に出られないルールも経て迎えた最後の夏。ヒットは打てなかった。でも試合後、屈託のない笑顔で教えてくれた。「自分は周りに助けられました。野球を続けてよかったです。最高の仲間に出会えました」。【清水駿斗】