報徳学園(兵庫)が葛城イズムで、仁川学院を相手に25-0の5回コールドで圧勝した。

26安打25得点の要因は、今春に同校コーチに就任した元阪神の葛城育郎氏(43)だ。立命大で大角健二監督(41)の3年先輩という縁があり、コーチの打診を受諾。2月に学生指導資格を回復し、4月から指導にあたっている。葛城氏は「土日をメインで指導に。高校野球は1試合で勝敗が決まる。ある種、プロより厳しいかもしれないですね」と、日焼けした肌でやりがいを語った。

大角監督は「試合に連れていけないメンバーには、手がボロボロになるまでノックを打ってくれている」と親身な指導に感謝。葛城氏自身も「元プロとしてだと(会話に)壁がある。自ら積極的に話しかけ、話しやすい相手になれるように心掛けている」と近い距離での会話に努めていた。

5回先頭で左打席から豪快に引っ張り、右翼席にソロを放った湯水(ゆすい)海内野手(3年)は「1球への準備は練習から言われている。今日はその準備がきちんとできた」と、偉大なコーチの指導を夏の舞台で体現。プロ時代はお立ち台で雄たけびを上げ、ファンを沸かせたこともあったが、湯水は「映像を見てびっくりした。普段からは想像できない。僕が叫んだら『調子に乗るな』と怒られる」と苦笑。チームの目標である日本一へ向け、葛城コーチとともにまずは夏1勝を挙げた。【前山慎治】

◆葛城育郎(かつらぎ・いくろう)1977年(昭52)9月28日生まれ、大分県出身。倉敷商-立命大を経て99年ドラフト2位でオリックス入り。トレードで04年に阪神移籍。08年には移籍後の自身最多となる112試合に出場。11年引退。プロ通算12年間で750試合出場、417安打、35本塁打、171打点、打率2割4分8厘。兵庫・西宮市で鶏料理店「酒美鶏(さけびどり) 葛城」を経営。現役時代は180センチ、87キロ。左投げ左打ち。