武蔵越生は、シード校の昌平に食らいついたが、あと1歩及ばなかった。泉名智紀監督は「主将の田沢(勘太)がよくまとめてくれた。この1年で1番いいチームになりました。負けたのは私の力量のなさ。選手たちはよくやってくれた」と話した。

テーマは「往生際を悪くいくこと」。粘って、粘って、粘った。初回に2点を先制。逆転されても、諦めなかった。4-8で迎えた9回2死一塁、4番の石上大輔捕手(3年)が左越えの2ランを放った。ベンチから「頼むぞ」と送り出されていた石上は「絶対につないでやる、と思っていた。あっさり終わりたくなかった。意地でも同点にしようと、食いついてやろうと思った」。あと2点及ばず、涙で声を震わせた。

警戒していたプロ注目の昌平・吉野創士外野手(3年)にはコースを広く使って、安打を許さなかった。このチームで戦った最後の試合。「みんなできつい練習も乗り越えてきた。最後は笑って終わりたかったです」。悔し涙は、止まらなかった。