<高校野球埼玉大会:花咲徳栄3-1西武台>◇19日◇4回戦◇大宮公園野球場

西武台(埼玉)の「侍」たちは、一世一代の戦いで勇猛果敢な姿を見せた。優勝候補・花咲徳栄との一戦。合言葉は「歴史を変えよう」。照準を合わせて速球対策などを行ってきたが、あと1歩及ばなかった。河野創太監督(39)は「気持ちを極限まで高めてきた。素直に悔しい。勝負の世界は、点差は関係なく負けは負けです」とかみしめるように話した。

試合前の円陣で、戦国武将・織田信長の言葉を選手に贈った。「臆病者の目には、敵は常に大軍に見える」。三塁側ベンチの花咲徳栄の迫力は十分。しかし、弱気になっては戦えない。失敗を恐れず、立ち向かってこその戦だ。全員が、魂を込めて臨んだ。

「まだまだ、やれるよ!」「全員でやろう!」。威勢のいい声が、戦いの雰囲気をつくった。2年生ながら4番の渡辺新太内野手の本職は投手。3月に右肩を痛め、大会直前でも調子は上がらなかった。それでも6回から登板し、2回2/3を1失点。「構える必要はないと思っていた。相手も同じ高校生。絶対に打たせないと思っていた」。打線は、相手を上回る10安打を放った。指揮官は「自分たちの野球を体現してくれた。練習試合でやれたそのままを出せたことは、立派。一緒にやれて良かった」。真正面からぶつかった後には、すがすがしさが残った。【保坂恭子】