大分舞鶴が春夏通じて初の甲子園出場を決めた。日本高野連は28日、第94回選抜高校野球大会(3月18日開幕、甲子園)の選考委員会を開き、出場32校(一般選考枠28、神宮大会枠1、21世紀枠3)を決めた。大分舞鶴は「文武不岐」を野球部のモットーに、継続して大会上位に食い込む成績を収めてきたことも評価され、21世紀枠で選出された。

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大分舞鶴が、創部71年目で悲願を達成した。春夏通じて初の甲子園出場。大分県勢としては09年の大分上野丘以来となる21世紀枠での選出。午後3時7分、校長室に電話で吉報が届き、楢崎信浩校長(60)から祝福の言葉をかけられると、河室聖司監督(57)の目が潤んだ。「舞鶴の新しい歴史を切り開いた」とナインの奮闘をたたえた。

東大合格者も輩出する県内屈指の公立進学校で、文武両道の方針を掲げる。野球部も「文武不岐」の精神を大事にしている。平日の練習は午後5時以降の2時間と限られているが、複数の班に分かれた選手が分単位のローテーションで練習や筋力トレーニングを行う。個別の栄養指導による食事の見直しなど効率的な取り組みで成長した。昨夏の大分大会決勝では強豪・明豊に敗れたが、準優勝を飾った。九州大会も昨年には春秋連続出場し、秋は1回戦敗退だったが、プロ注目の最速146キロ左腕、大野稼頭央投手(2年)を要する大島(鹿児島)と延長10回引き分け再試合の激闘を演じた。20年以上続ける地域清掃などボランティア活動も評価された。

甲斐京司朗主将(2年)は「お世話になった先輩、父兄、地元の皆さんに恩返しできた。伝統の“舞鶴魂”で持ち味である粘りの野球を見せたい」と夢舞台での戦いに意気込んだ。20年に就任した河室監督も「これまで、あと1歩届かなかっただけに大変感激しています。35年の指導生活の夢がかなった。九州大会で勝てなかった分、地元の期待に応えるべく、なんとか甲子園で1勝したい」と力を込めた。憧れの聖地で、悲願の初勝利を狙う。【後藤英夫】

◆大分舞鶴 1951年(昭26)創立の県立高。生徒数は951人(女子459人)。野球部は同年創部で部員39人(マネジャー5人)。甲子園出場は春夏通じて初。ラグビー部は全国大会の常連で、74年度には全国優勝。東大や京大への合格実績も持つ県内屈指の進学校。主なOBは歌手の南こうせつ、元ラグビー日本代表の今泉清氏、プロゴルファーの杉瀬薫ら。所在地は大分市今津留1の19の1。楢崎信浩校長。

<センバツ特別枠>

◆21世紀枠 01年から導入。推薦校は原則として秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟129校以上はベスト32以上)から選ぶ。練習環境のハンディ克服、地域への貢献など野球の実力以外の要素も選考条件に加える。07年まで2校、08年から3校を選出(85回記念大会の13年と、明治神宮大会中止に伴い神宮大会枠がなかった昨年は4校)。東日本、西日本から1校ずつ、残り1校は地域を限定せずに選ぶ。

◆神宮大会枠 03年導入。明治神宮大会優勝校が所属する地区に出場枠1を割り当てる。今回は大阪桐蔭が優勝し、近畿地区に1枠をもたらした。