富士宮西では初の男子マネジャー、木本一郎(3年)が最後の夏を迎える。記者が訪れた24日、練習開始の40分前。選手が着替えをする中、木本は黙々とベンチ掃除や道具の準備をしていた。「選手を支える仕事。楽しくやらせてもらってます」と充実感を漂わせた。   

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富士宮市立西富士中では、軟式野球で7番右翼のレギュラー。高校入学後、野球部に入ったが、マネジャーを選んだ。「データ分析が大好き。違った形でチームに貢献できると思ったから」。ノック練習時は、バックホーム返球、一塁到達、バント処理等のタイム測定を行い、大声で選手に伝達。実戦に近い緊迫感を持たせている。試合でも、相手投手の配球をチェック。序盤でデータをそろえて、選手へ伝える。「起用してくれている監督に感謝です」と謙虚だ。

誰よりも早くグラウンドに来て準備を始め、時には練習も補助する。古殿(ふるとの)和彦監督(57)は「(男子マネジャーの入部に)入学当初は驚いた。活動範囲は広く、チームへの貢献度は高い」と高く評価する。チームは昨夏の県大会で初戦敗退。勝利に向けて一丸になっている。木本の陰の努力が、白星をたぐり寄せる。【山口昌久】

◆女子マネジャーの井口彩(3年)は、木本とコンビを組んできた。「木本君はいつも選手ファースト目線。意思疎通がうまくできて、仕事がやりやすい」。選手には「勝っても負けても、最後に選手全員が力を出し切ってくれたらうれしい」と訴えた。主将の真(しん)伊吹捕手(3年)は「木本と井口のサポートには感謝しかない。結果で恩返ししたい。絶対に勝ちます」と力を込めた。

◆1987年(昭62)センバツ出場の古豪。2019年に日本高野連の育成功労賞を受賞した影山貴司氏が今春、吉原を定年退職。富士宮西野球部の副部長に就任し、指導に加わっている。左腕エースの石川は、巧みな投球術で打たせて取る。遊撃・四條、中堅・丸屋のセンターラインは堅守。昨秋に導入した筋力・体幹トレーニングで、攻撃力が向上。接戦に持ち込み、3回戦進出を目指す。