帝京長岡は中越と延長12回の激戦を演じ、1-0で勝ち、初の決勝進出。先発のエース茨木秀俊投手(3年)が181球、被安打4、11奪三振の完封投球だった。決勝は28日午前10時からハードオフ新潟で行われる。

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冷静なエース茨木秀がほえながら跳び上がった。「何としても勝ちたかった。球審の『ストライク』という声を聞いてうれしかった」。炎天下の延長12回、3時間30分の激闘。0-0のままの展開が続き、緊張と集中を強いられっぱなしだっただけに普段はポーカーフェースのエースも喜びに弾んだ。

中越最後の打者に投じた181球目は最大の武器の直球だった。見逃しの三振に仕留め、ゲームの幕を引いた。「最後は自信のあるストレートで締める」。狙い通りに三振を奪った。12回の長丁場で被安打は4、11奪三振の快投だった。

「エースという立場。自分が抑えないと勝てない。責任を持って投げた」と茨木秀はプライドをむき出しにした。181球を投げても涼しい顔。スタミナには自信があった。「6月には1週間に1000球投げる練習をした」とまるでこの日を想定していたようにタイトな投げ込みを行ってきた。

「200球でも投げられるような練習をやってきた」と話した芝草宇宙監督(52)だが、エースの成長に驚かされてもいた。「正直、あそこまでやれるとは思わなかった。ここまで成長したかと感じた」と茨木秀を評した。安打されると心が折れて、失点につながる悪い癖は影をひそめた。「折れたらダメ」と自分に言い聞かせながら粘り強くマウンドで投げ続けた。「最高のピッチング」。プロ野球投手出身の芝草監督はエースに最大の賛辞を贈っていた。【涌井幹雄】

○…中越エース小幡拳志郎(3年)に涙はなかった。「何が何でも投げきろうと思った。マウンドを降りる気はなかった」。延長12回、206球を投げ、7安打1失点、16奪三振の熱投に納得の表情だった。1回表にいきなり2死満塁など3者凡退は3イニングだけ。それでも「走者を背負ってからが中越の持ち味」と気持ちを切り替え、切り抜ける。直球は自己最速の145キロを記録するなど意地を見せたエースを本田仁哉監督(45)は「別人になったかのように成長してくれた」とたたえた。

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