全国高校野球選手権新潟大会は今日28日、帝京長岡-日本文理の決勝がハードオフ新潟で午前10時から行われる。帝京長岡は元プロ野球選手で日本ハムなどで投手で活躍した芝草宇宙監督(52)が就任して3年目でチーム初の4強入りを果たすと、決勝まで駆け上がった。春夏通じて初の甲子園へあと1。決勝をチームの1つの関門ととらえ、野球部の歴史に新たな1ページを刻む。

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決勝に備え、帝京長岡は27日、自校のグラウンドで調整した。芝草監督はその様子を見ながら言った。「いいチームになった。勝たせたい」。26日の準決勝は中越との延長12回の接戦を1-0でものにした。4安打で完封したプロ注目のエース茨木秀俊(3年)を中心に粘り強く戦ったナインにたくましさを感じた。決勝の相手は12度目の甲子園出場を目指す日本文理。「やってきたことを出すには最高の相手」と全力でぶつかることを期待した。

勝てば帝京長岡初の甲子園。準決勝に進んだ時点でチーム最高成績だったが、「甲子園で勝つことを目標にしてきたチーム。一気に決めないと」と道半ばにいることをナインにも伝えた。20年4月に監督に就任。現3年生は自身とともに帝京長岡に入った。手塩にかけてきたメンバーとともに歴史の扉を開けたいという気持ちは強い。

浅川節雄校長(73)により、決勝は全校応援になった。全国高校選手権でベスト4進出2回の男子サッカー部、昨年のウインターカップ男子で準優勝したバスケットボール部のメンバーもスタンドから後押しする予定。全国舞台で活躍する両部の存在は「私にとっても、選手とっても刺激になる存在」。男子バスケットボール部の柴田勲監督(53)とは同い年で、普段から激励を受けている。「試合もよく見に来てくれるんです」。そんな視線も力の1つだ。

NPBでは日本ハム、ソフトバンクで通算46勝17Sを挙げた右腕。帝京高(東東京)ではエースとして87年春夏甲子園に出場し、夏は史上20人目のノーヒットノーランも達成した。「高3の時は東京で負けるというのは頭になかった」と甲子園出場は前提に近かったと振り返る。監督として甲子園を目指す今、「どんなことがあっても出たい」と純粋に負けん気が湧いている。監督生活で迎えた最初のビッグチャンス。「楽しみです」と笑みを浮かべた。【斎藤慎一郎】