愛工大名電(愛知)エース左腕有馬伽久(3年)が完投勝利で41年ぶりの夏8強入りへ導いた。8回まで毎回走者を許しながらも最少失点で切り抜ける粘りの投球で、9回を被安打6の6奪三振、2失点にまとめた。打線の援護も受け、危なげない試合運びで勝利に導いた。

完投はエースの意地だった。1、2回戦は途中降板。岩瀬や山田ら盤石の継投陣で勝ち上がった。倉野光生監督(63)は「8、9回は岩瀬でいくぞと言ったら、いや自分が投げきりますと言うので、よし任せたぞと。完投になりましたね」と舞台裏を明かす。有馬は「1回戦は足をつってしまったり、2回戦は途中で降板となった。3回戦は自分が投げきるぞという気持ちが大きかった」と完投劇を振り返った。

1点リードの2回には1死二、三塁から三塁走者をけん制死に仕留めた。左腕ながら「練習試合で何度かある」という三塁走者のけん制は「練習している。三塁ランナー(のリード)がでかかったので、しようかなと思った」と話した。

巧みなプレーも光り工藤公康(前ソフトバンク監督)を擁して4強入りした1981年以来の夏8強。有馬は「偉大な先輩へ尊敬はあるが、やはりそれを超したいという気持ちの方が大きい」と頂点をにらんだ。【波部俊之介】