東海大菅生が日大三との接戦を3-2で制し、来春のセンバツ出場と2年ぶりの優勝に王手をかけた。先発の日当(ひなた)直喜投手(2年)が、10安打2失点6奪三振で完投。打っては同点の8回に決勝打を放つなど投打で貢献した。13日の決勝戦では、甲子園切符を懸けて帝京に勝利した二松学舎大付と対戦する。

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マウンド上で、日当は同点打を覚悟した。1点リードの9回1死一、二塁。痛烈な打球を三遊間にはじき返された。後ろを振り向き、行方を追った。三遊間を抜けるかと思われた一打は横っ跳びした門間丈遊撃手(2年)のグラブにおさまり、併殺で試合終了。2時間4分、135球を投げきって決勝進出を決めた190センチ、95キロの大型エースは力強く右手を突き上げた。

昨秋、気合を入れるために自ら髪を五厘に刈り込んだ。だが先発した準々決勝の日大三戦で7-8と惜敗。その時から宿敵には3連敗中だった。この日の試合前日、1年前の悔しさがよみがえってきた。もう打たれて負けたくない。「今度は全員でやって、次は勝とう」とチームに提案。「大会でひとつになりたい」という熱い思いが届き、全員がバリカンを手にした。

打たなければいけない「特別な日」でもあった。試合前日は、両親の結婚記念日でもあった。電話でお祝いを伝えたうえで「明日は絶対打って、勝ってくる」と誓った。2-2で迎えた8回2死一、二塁。「たまたま当たっちゃった」という打球が左前に落ち、決勝適時打に。見事に有言実行を果たしてスタンドで見ていた両親に最高のプレゼントを届けただけでなく、若林弘泰監督(56)も「宝くじが1億円ぐらい当たった気分」と喜ばせた。

2年ぶりのセンバツ出場が見えてきた。日当は「うれしさに浸ってたら、明日勝てない。明日、勝ちをかみしめる」と、決勝に向けて切り替えた。次は「甲子園」という最高のプレゼントを届ける。【星夏穂】