<高校野球兵庫大会:明石商2-1滝川二>◇25日◇準決勝◇ほっともっとフィールド神戸

 

高校野球のドラマは、勝った者にだけ生まれているわけではない。日刊スポーツでは今夏、随時連載「君がらんまん」で、勝者だけでなく敗者にもスポットを当てた物語をお届けする。

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149キロ右腕の夏が終わった。

滝川二・坂井陽翔投手(3年)は3回に3者連続三振を奪うなど、9回まで気迫の投球を続けた。「全力を出し切ったので、悔いはないです」。ときおり目に涙が浮かんでも、試合後の表情はすっきりしていた。

小学4年からバッテリーを組んできた田村武琉(たける)捕手(3年)とのプレーも、楽しんだ。「僕が甲子園に連れて行くのが一番の恩返しだったけど、それはできなかった。でもいい試合をできて良かった」と感謝し、健闘をたたえ合った。

高校入学時には、エースになることだけが目標だった。だが「思っていた以上に速い球を投げられるようになって、注目されるようにもなれた」と坂井。エースとしても4番打者としても、自身の想定を上回る成長を遂げた高校生活は充実感あふれるものになった。

プロから熱視線を受けるU18W杯高校日本代表候補は、プロ志望届を「出す方向です」と明言。「目標にされる投手になりたい」とさらなる成長を目指していく。【永田淳】

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