“麟太郎の逆襲”第1章が完結した。高校歴代最多通算140本塁打を誇る花巻東(岩手)のプロ注目スラッガー、佐々木麟太郎内野手(3年)が自身初となる夏の甲子園出場を決めた。
決勝の盛岡三戦に「3番一塁」でフル出場し、4打数1安打1打点1四球。背中の張りもあり、今大会で代名詞の本塁打はなかったが、4年ぶり11度目の優勝で、過去2年の悔し涙をうれし涙に変えた。佐々木洋監督(48)との親子鷹で昨春センバツ以来の聖地に向かう。
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佐々木麟が叫び、抱き合い、うれし涙を流した。10点リードの9回2死三塁、小松龍一投手(2年)が空振り三振に抑え、4年ぶり11度目の優勝が決まった。一塁から右手を突き上げ、マウンドへ一直線。仲間とともにNO・1ポーズをつくった。歓喜の輪がほどけると、右手で目元を押さえ、うれし涙をぬぐう。さらに右手を胸に当て、目をつむって呼吸を整えた。
「まずここが第一の恩返しで、ここからが大事。3年間、(佐々木)監督にも(流石裕之)部長にも、そして仲間たちにも支えられてきて、厳しくご指導もいただいて、ここからが自分としても恩返しできる形だと思っているので、そこに関してはプライドを持って甲子園に臨みたいです」
父が監督を務める縁で幼少期から花巻東のグラウンドに通い、高校生の「お兄ちゃん」が白球を追う姿を見てきた。岩手県営野球場や甲子園にも数え切れないほど足を運んだ。「ここの野球にほれていました」。OBの菊池雄星(現ブルージェイズ)や大谷翔平(現エンゼルス)のプレーも目に焼き付けてきた。
憧れの花巻東だったが、中学卒業後の進路を決める際には、父の佐々木監督から岩手県外の高校への進学を勧められたという。それでも、自分の意志を貫いた。「監督さんに『花巻東1本で』」と伝え、「花巻東じゃなければ自分は野球を捨てる覚悟はできていた」と並々ならぬ思いで入学し、1年春から主力に定着。春秋の県大会は無敗で計5度制してきたが、夏は1年時が準優勝、2年時が4強と甲子園は縁がなかった。
決勝翌日の27日が佐々木監督の48歳の誕生日だ。指揮官は試合前、選手たちに「もし良かったら誕生日プレゼントは勝利でお願いしたい」と要望。佐々木麟は4回の左前適時打がこの日唯一の安打だったが、チームプレーに徹し、「何とか優勝旗をもたらしたい」と指揮官の思いに応えた。
今大会は帽子に「逆襲」「命を懸ける」と記して臨んだ。次の舞台は自身初となる夏の甲子園。「ここからまだまだ新たな歴史をつくれると思っています」。チームスローガン「岩手から日本一」達成へ、“麟太郎の逆襲”第2章が幕を開ける。【山田愛斗】

