第98回選抜高校野球大会が19日、甲子園球場で開幕する。今大会からDH制が導入され、出場32校がどう活用していくかに注目が集まる。春夏3度の優勝の帝京(東京)は午前10時半から、開幕戦で昨夏甲子園優勝の沖縄尚学が激突。甲子園出場は11年夏以来15年ぶり。来たる決戦を前に、前指揮官の前田三夫名誉監督(76)に話を聞いた。【平山連】
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初戦から強いチームと当たりましたね。沖縄尚学はいいピッチャーが残っていますからね。しかも開幕戦。負けたらもうこれで終わりというプレッシャーはかかりますが、(監督の)金田(優哉)君は夏の甲子園で開幕戦(中部商に11ー8)を戦って勝ってます。当時は沖縄一色の応援に選手たちは負けないように「先行されたら負ける。点差をつけていかないと、ウチが厳しくなるよ」と伝えました。狙い通り序盤からリードを広げたことが勝利につながりました。
甲子園での1勝の意味は大きいです。選手が成長しますよね。あれだけ大きなグラウンドで試合をして、大勢のお客さんの前で勝つ。指導者にとっては、甲子園で試合を重ねるごとに選手たちがどんどん頼もしく映ります。
たしかに帝京は甲子園から遠ざかってはいましたが、名門と呼ばれる学校には「エアポケット」が存在します。私は監督になって3年に1度は甲子園に出そうという気持ちで続けていいましたが、甲子園に出られなくなる時期が長く続きました。金田くんにはずっと「東京のベスト8、4あたりをうろついていれば、必ずチャンスがある」と言い続けていました。帝京のバトンをつないでくれた若い世代が頑張って、チャンスをつかんでくれました。
今大会からDH制が採用されて各校打撃面は層が厚くなりますから攻めやすくなりますが、ピッチャーは大変ですね。投手力の差が大きく影響が出てくると思います。帝京は、勝負どころでいかに自分たちのペースに持っていけるか。少ない点数での勝負になると思います。当日は現地で観戦します。あのユニホームには愛着がありますからね。甲子園で見られるのはやはりうれしいです。
私にとっての「帝京魂」ですか(笑い)。あれはとんねるずの石橋貴明が発して定着した言葉だと思いますが、当時は専用グラウンドもなく、狭いグラウンドをサッカー部などと分け合い使ってました。“無”から作り上げたのが、帝京の土台です。OBたちの頑張りと感謝を忘れないことが、私にとっての「帝京魂」だと思います。
◆前田三夫(まえだ・みつお)1949年(昭24)6月6日、千葉県生まれ。木更津中央では三塁手としてプレーし、3年夏は千葉大会の準決勝で敗れた。帝京大に進み、卒業後の72年に帝京監督に就任。78年のセンバツで甲子園初出場した。春1回、夏2回の優勝を誇る。通算51勝23敗。教え子はタレントとんねるずの石橋貴明、巨人松本剛、DeNA山崎、ソフトバンク中村晃ら。21年夏を最後に勇退し、現在は名誉監督の立場でチームを見守る。

