神村学園(鹿児島)が、連覇を目指した横浜(神奈川)を2-0で下し2回戦進出を決めた。エース右腕の龍頭汰樹(りゅうとう・たいき)投手(3年)が、緻密な制球と強気な内角攻めで完封一番乗り。史上初めて横浜を甲子園初戦で完封し、衝撃を与えた。智弁学園(奈良)は、最速149キロ左腕の杉本真滉(まひろ)投手(3年)が花巻東(岩手)を散発3安打完封。「高校BIG3」のうち沖縄尚学・末吉良丞(3年)横浜・織田翔希(3年)の両腕が敗退する中、フレッシュな投手が名乗りを上げた。

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2点リードで迎えた9回2死満塁の守り。1球ごとに甲子園から地鳴りのようなどよめきが沸き上がる。絶体絶命のピンチで神村学園・龍頭の脳裏をよぎったのは、卒業式の日、阪神入りした前エース早瀬朔から受け取った「1球の失投で勝負は決まる」という金言だった。「あのひと言があったから、最後まで1球1球を丁寧に投げ切れた」。最後の打者、林田への128球目。それまで多投していたフォークではなく、あえてスライダーを選択して空振り三振。力強いガッツポーズで、帽子のつばの裏に刻んだ「我武者羅」を体現した。

中学まで遊撃手だった。小田大介監督(43)が「勝負強さと制球力が抜群」とその才能を見抜き、1年秋に投手に転向した。精密機械のような制球力を支えるのは、日々のキャッチボールだ。指にかかったボールを投げるために、相手の右胸を狙って投げ込む。「左胸だとシュート回転して球が弱くなる」という監督の指導を忠実に守り、大舞台でもストライクゾーンを立体的に、そしてミリ単位で使い切った。

身長170センチと小柄ながら、昨春の覇者相手に仁王立ちした。長打力のある横浜に対して、逃げの姿勢は一切なし。「外一辺倒では踏み込まれる」と内角を強気に突き、タイミングを外す「抜くフォーク」で手玉に取った。大会屈指の最速154キロ右腕、織田との投げ合いにも「相手は意識せず、チームを勝たせることだけを考えた」と、自らの仕事を完遂した。小田監督は「今日は龍頭に尽きる。ふだんはホンワカしているが、別人のようなたくましい男の顔だった」と、極限の中での勝利をたたえた。【鳥谷越直子】

◆龍頭汰樹(りゅうとう・たいき)2008年(平20)4月27日、福岡・久留米市生まれ。小1から野球を始める。高良内レッドタイガース-筑後ボーイズを経て、神村学園へ。昨秋の九州大会は全3試合で完投し、1回戦は2桁奪三振をマーク。特技はボウリング、好きな言葉は「こなすな、挑め」。170センチ、67キロ。右投げ両打ち。

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