中京大中京(愛知)が8強一番乗りを決めた。帝京(東京)との名門対決を延長10回タイブレークで制し、センバツ通算勝利数を単独トップの60に伸ばした。敗れた帝京は16年ぶり8強入りを逃した。
◇ ◇ ◇
初戦無安打の苦しみから抜け出した。中京大中京の主将荻田が、春850号となる会心の一発を含む、3安打3打点。春通算60勝目に花を添えた。
「甲子園で打ったことがなかった。捉えた時は『入れ~』と思いました」。2点リードの第3打席、5回無死一塁で帝京・岡田の直球を高々と運び、高校通算12号の左越え2ラン。「1回戦後、いろんな方から『甲子園楽しめよ!』と。メンバーの励ましもあり、今日は気持ちよく打席に向かうことができました」。
昨年まで同校の臨時コーチとして指導し、今年から中日の球団本部長補佐に就任した荒木雅博氏(48)が試合を視察し、聖地で荻田の一発を見届けた。
師と慕う荒木氏もうなる優しいハートの持ち主だ。小6で中日ドラゴンズジュニアで準優勝、東海中央ボーイズでは主将で日本一。荒木氏は「『下手でいいんだよ、性格がよければ、それでいい』と話したら、どんどん(長所が)伸びていきましたね」。鍛えられた技術だけでなく、目上の人の声にじっくり耳を傾ける素直さが野球に生きている。
名門校のレギュラー唯一の丸刈り頭で、聖地にふさわしい名を授かった。大阪桐蔭OBの中田翔氏がプロ1年目の08年に誕生。父元弘さん(41)は、「中田さんのように甲子園で活躍してほしい」と画数も加味し「翔惺」(しょうせい)と命名した。
周囲の期待を毎日力に変える荻田。「いつもみんなが助けてくれる。チーム力でこれからも勝ちます!」。66年以来、60年ぶり春最多タイの5度目の優勝へ突き進む。【中島麗】
◆センバツ850号 中京大中京・荻田の本塁打は大会通算850本目。第1号は1924年の野村栄一(高松商)。

