これぞエースの仕事だ!大阪桐蔭は専大松戸(千葉)を3-2で下し、春夏10度目の甲子園優勝に王手をかけた。吉岡貫介投手(3年)は2回戦・三重戦で5回途中4失点と苦しんだが、今大会2度目の登板で7回1失点と本来の姿を見せた。智弁学園(奈良)は杉本真滉(3年)が中京大中京(愛知)打線を9回1失点完投に抑え、2-1で下し10年ぶりの決勝進出。4年ぶりに近畿勢同士の対決で、紫紺の紫紺の大旗をかけて争われる。決勝は31日午後0時半から。
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最後は打者との競争だった。9回2死一、二塁。中京大中京・田中大晴内野手(3年)の痛烈な打球を受け止めた左足を引きずりながら、智弁学園・杉本は白球を追ってひた走り、一塁手に送球した。
「下級生の逢坂が打ってくれた点を取られるわけにはいかないんで。顔に当たっても捕ると。死んでもアウトを取ると」。アウトを見届け、杉本はグラウンドにひざをついた。
10年ぶりのセンバツ制覇に王手をかけた。前半は直球を狙い打たれ、3回は外野手の失策がからんで1点を失った。ならばとカットボール、スライダー、チェンジアップと多彩な変化球で勝負。「(捕手の)角谷が『まっすぐ狙われてるから、まっすぐは見せ球でいいくらいの厳しいところに投げていこう』と言ったんで」とピンチを断った。
9回はギアを上げた。2死一、二塁で打率6割6分7厘の田中を迎え、この日の最速147キロをマーク。決勝で対戦する大阪桐蔭・西谷浩一監督(56)は「びっくりするくらいタフになっている」と舌を巻いた。
「杉本は、やりますよ」と小坂将商監督(48)は16年春の優勝投手、村上頌樹(阪神)型の成長を確信していた。11年前の秋の近畿大会敗退後は取材を受ける態度を見とがめ、村上を叱った。昨秋の近畿決勝は杉本を叱りとばした。決勝打を打たれた悔しさで、閉会式で副将の務めを果たさなかった。成長を祈り、2人を叱った。杉本も変わった。守備陣を信じ打たせてアウトを取り、投球の幅を広げてここまで来た。
決勝も杉本で勝てば、16年村上に続く5戦5勝の優勝投手に。「いけるとこまでいくか、ごまかしを入れるか。僕は明後日、雨が降ることを祈ってます」と小坂監督は本音ももらした。左すねの状態、球数制限も気にかかる。それでもエースは「投げられます」と臆することはない。桜咲く奈良・五條へ、紫紺の大旗を持って帰る。【堀まどか】
◆杉本の投球数 高校野球特別規則で投球数は1週間500球以内と決められている。決勝が予定通り31日に実施されると、杉本の球数は25日の2回戦からカウントされ準決勝まで369球。決勝では131球が限度となる。
◆智弁学園対大阪桐蔭 甲子園では21年春1回戦で1度対戦し、智弁学園が8-6で勝っている。智弁学園は1回裏に大阪桐蔭の先発松浦慶斗を攻略し4点先制。西村王雅-小畠一心の継投で反撃をかわし、大阪桐蔭の連続初戦突破を春夏通算17連勝で止めた。

