<高校野球北北海道大会:帯広緑陽8-0清水>◇2日◇代表決定戦◇十勝地区予選
5地区14校が南・北北海道大会(南は18日から札幌円山、北は16日から旭川スタルヒン)進出を決めた。十勝地区では、帯広緑陽が清水を破り、80年の創部以来、初の北大会切符を手にした。3季通じても初の道大会進出。エースの大和田尚(ひさし=3年)が7回無失点に抑え、地区3戦連続完投でけん引した。
大和田の鉄腕は健在だった。7回裏2死、最後の打者を右飛に打ち取ると、右手を握りしめた。仲間と抱き合い、ようやく笑みがこぼれた。「絶対にマウンドは降りないつもりだった」。2-0で迎えた6回表には追加点となる右前打、7回には中越え適時三塁打でダメ押しした。創部以来の悲願を横手投げ右腕が導いた。
予選3試合を投げきった。初戦の帯広三条戦は延長14回157球、2回戦の本別戦も8回137球、この日は7回86球を6日間で投じた。「疲れはありましたが、何とか勝ちたいと」と踏ん張った。本別で野球部だった父哲さん、元テニス部員の母忍さん(ともに48)からもらった体は風邪をひくこともない。1年秋、斎藤慎治部長(40)から横手投げ転向を進言され、変化球のキレが増した。昨夏から11試合9完投と絶対的な大黒柱になった。
夏は過去3度、代表決定戦進出もあと1勝が遠かった。同校OBの田村潤監督(41)も2年時、帯広北に敗れた。「個人的なことですが、母校を甲子園に行かせたくて大学に行った」。2浪の末、早大で野球部に入り、元巨人の仁志敏久さんらと汗を流した。6年前に就任。斎藤部長は言う。「監督の執念ですよ」。
チームは2年間、正月に郵便局のアルバイトで稼ぎ、昨夏、四国と関西に遠征した。夏の甲子園をスタンドから観戦。戻ってきて選手たちは練習前のかけ声を決めた。「北大会、そして甲子園に出場するぞ」。その日から1日も欠かさなかった。
初陣となる北大会は16日から始まる。田村監督は「これからは十勝の代表として戦います」と言い切った。大和田は「しっかり戦って、甲子園に行くまで投げ続けます」。輝かしい1勝がチームの歴史を塗り替えた。【上野耕太郎】

