<高校野球大阪大会:東大阪大柏原11-0東海大仰星>◇31日◇準決勝

 ダークホースの進撃が止まらない。東大阪大柏原が東海大仰星に8回コールド勝ち。初の決勝進出を決め、甲子園に王手をかけた。中学時代は遊撃手だった2年生エースの福山純平が8回を投げきり、7安打無失点の好投。打線の猛攻を呼び寄せた。全国49地区最後の切符をかけ、今日1日の決勝では、履正社を破った大阪桐蔭と対戦する。

 昨夏1回戦負けした伏兵が、夢の甲子園に王手をかけた。この日の東大阪大柏原の主役は福山だった。2回以降は毎回走者を背負いながら、要所を締める「納豆ピッチ」を展開。最後の8回も1死一、二塁とされながら遊直併殺打に打ち取った。歓喜の三塁側スタンドと対照的に、冷静なエースは控えめな笑顔で「変化球でうまくカウントを取れた」と涼しげに振り返った。

 「ここまで来たのはピッチャーの踏ん張り。福山は丁寧に落ち着いて放っていた」。上宮を率いて93年センバツを制した田中秀昌監督(54)も2年生右腕の粘りをたたえ「何せ中学の時はショートですからね」と笑って付け加えた。

 福山の入学直後、投手の素質を感じた指揮官が「センスがあるし、バランスがいい」と転向を決めた。小学校でマウンド経験はあるが、投手を本格的に始めてまだ1年半。最初は132キロだった直球も、今は最速144キロに伸びた。変化球も4種類を操る。武器はマウンド度胸と制球力だ。

 5月の春季大阪府大会5回戦で履正社に勝ったことがチームに自信を植え付けた。プロ注目の強打者、石川慎吾主将(3年)を擁する打線も好調を維持し、初の決勝進出。対する大阪桐蔭には春季大阪府大会準々決勝で3-6と逆転負けした。その時、福山は右肩痛で離脱しており「夏に対戦したら絶対に勝ちたい」という気持ちを抱いていた。

 「実力的には向こうが数段上。そのぶん精神的には楽に戦える。野球は弱者が強者に勝てるスポーツですから」と、田中監督はチャレンジ精神を強調。リベンジを果たす、最高の舞台が整った。【大池和幸】

 ◆福山純平(ふくやま・じゅんぺい)1994年(平6)4月15日、奈良・五條市生まれ。小2の時に「五條ドンキーズ」で投手として野球を始める。五條中では「五條ドラゴンズ」で遊撃手。高校では1年秋から背番号1でベンチ入り。好きな選手はヤクルト・由規投手。174センチ、69キロ。右投げ右打ち。