<全国高校野球選手権:東大阪大柏原8-1至学館>◇8日◇1回戦

 春夏通じて初出場の東大阪大柏原(大阪)が至学館(愛知)を下した。

 東大阪大柏原のアルプス席から「あと1人」を促す拍手も起きた。9回は2年生エース福山純平が3者連続空振り三振に打ち取った。「最初は足が震えました。でも終わってみれば100点に近い投球が出来ました」。13奪三振1失点完投で、激戦区・大阪を勝ち抜いた代表らしい締めくくり。だが序盤はこんなスマートな最後になるとは思いもしない波乱の攻防だった。

 田中秀昌監督(54)が「何でやねん!?」とうめいたのは1-1の3回だ。1死満塁で打席の西田へのサインはスクイズ。だがカウント0-1から低めに来たボール球に、西田はバットを引いてしまった。田中監督は「あれは当てないとあかん」。三塁走者の末武は三塁と本塁のほぼ真ん中にきていたが、末武は「戻ってももう遅い。しゃあない、行ってやれと走りました」。それがワンバウンドした投球を相手捕手は抑えきれず、記録は本盗で勝ち越し。イチかバチかの突入が勝ち越し点に変貌した。5回は西田の名誉挽回打もあってビッグイニング。6回には花本太が公式戦1号。集中打も2年生エースの力も見せ、初戦圧勝は幕を閉じた。

 3日の組み合わせ抽選会。田中監督は智弁和歌山・高嶋仁監督(65)に「感動したわ」と声をかけられた。大阪桐蔭に勝った大阪大会決勝を高嶋監督はテレビで見ていた。「勝つ喜びが選手にあふれていた。本当に感動した」。甲子園歴代最多61勝監督にそう言わせた。この日も主砲・石川慎は「ぼくらは大好きな野球を思う存分楽しんでやっています」と胸を張った。今夏の甲子園は東大阪大柏原劇場。そんな予感も漂う初戦になった。【堀まどか】