<全国高校野球選手権:東大阪大柏原8-1至学館>◇8日◇1回戦

 ミラクル軍団の夏が終わった。全国高校野球選手権で至学館(愛知)が登場。東大阪大柏原(大阪)との初出場対決に敗れた。

 1回表に田中の右前適時打で先制点を奪ったが、その裏の守備が乱れた。本塁への野選で同点を許した二塁手で主将の岡は「自分が一番落ち着かなくてはいけないのに、みんなに迷惑をかけてしまった」と唇をかんだ。3、5回も失策がからみ大量失点。この日48歳の誕生日だった麻王(あさお)義之監督は「甲子園の雰囲気に飲まれてしまった」と素直に敗因を認めた。

 亡き先輩とともに戦った夏だった。今年2月、昨年までのエース、桐林史樹さんが東名高速道路での事故に巻き込まれ18歳で亡くなった。アルプス席では父の和弘さん(49)と母まゆみさん(45)が応援。和弘さんの手には史樹さんのグラブがはめられていた。

 登板した3投手は、愛知大会と同じように交代する際に桐林さんの写真を受け渡し、お尻のポケットに入れて投げた。3番手の岩田は、くしゃくしゃになった写真を見ながら「僕がきちんと管理して来年もう1度ここに持って来ます」とリベンジを誓った。

 校歌の歌詞にこんな言葉がある。

 夢を追い続けた

 そしてここまで来た

 でもどうしてかな

 熱い涙が止まらない

 創部わずか6年目。至学館野球部の歴史はまだ始まったばかりだ。【坂祐三】