<全国高校野球選手権:習志野2-1金沢>◇16日◇3回戦

 大会屈指の右腕が今大会最速タイの153キロを残し、甲子園を去った。金沢・釜田佳直投手(3年)が習志野(千葉)を相手に自己最速を1キロ更新する快速球で9三振を奪ったが惜敗。今大会でプロ側の評価をさらに上げ、ドラフト候補として秋を待つことになりそうだ。

 金沢のプロ注目右腕、釜田が習志野に屈し、8強入り目前で散った。5回2死、2番片桐への4球目に自己ベストを1キロ更新する今大会最速タイの153キロを記録。8回まで150キロ前後の球威を保ち、9奪三振の力投で甲子園を沸かせた右腕の夏が終わった。

 2失点惜敗に「勝負どころで甘いボールになりまだ未熟です。実力がなかった」と悔しさをにじませ、153キロの剛球も「負けたので意味がない」とうなだれた。

 1-1の同点に追いついた直後の7回裏が勝負の分かれ目だった。2死一塁で宮内に対し、フルカウントから自信を持って外角低めに投げたスライダーがわずかに外れると「ガクッときた」。剛腕の緊張の糸が緩み、続く片桐にカットボールを左前打されて勝ち越しを許した。打っても4打数無安打と4番の役目を果たせなかった釜田は試合後、ベンチで涙を流した。

 だが悔いはない。初戦敗退した今センバツから成長した姿を大舞台で発揮できたからだ。球威が増した速球と新球カットボールなど多彩な変化球を使った配球で夏の甲子園2勝。2回戦ではドラフト上位候補の聖光学院(福島)エース歳内との投げ合いを制し「甲子園は成長できた場所。いい勉強をさせてもらいました」と自信を深めた。

 進路については明言を避けたが、プロ入りが有力視されている。「最終目標はプロ。機会があればまた甲子園球場で投げたい」。父茂さん(44)も「春に比べ成長していて楽しませてもらいました」とねぎらった。甲子園で得た財産を、今後のステップアップに生かす。【菊川光一】

 ◆釜田佳直(かまた・よしなお)1993年(平5)10月26日、石川・小松市生まれ。串小2年から「九思少年野球クラブ」で投手として野球を始める。御幸中では軟式野球部。金沢では1年春からベンチ入り。1年秋から背番号1。今春センバツは初戦敗退。178センチ、77キロ。右投げ右打ち