<高校野球南北海道大会・北海9-0札幌静修>◇1日◇札幌地区代表決定戦◇札幌円山

 札幌地区で北海が7回コールドで札幌静修を下し、2年連続47度目の南北海道大会進出を決めた。右2枚看板の1人、西村拓真投手(3年)が今夏初先発。6回2安打無失点で勝利を呼び寄せ、全国最多36度目の夏甲子園へ第1関門を突破した。

 2年連続の夏甲子園へ盤石の戦いぶりだった。まだ通過点と言わんばかりに、ナインは試合終了後も笑顔ひとつ見せず、整列した。今大会初登板の西村拓が6回を2安打無失点に抑えれば、打線も11安打で9点。平川敦監督(41)は「西村はしっかり投げてくれた。チームも2、3回戦はパッとしなかったが、今日は良かった。(試合が)地味なところがいい」と苦笑いした。

 満を持して先発した背番号10は一見、完璧な投球だったが、内実は違った。優勝した春全道は先発した1回戦(対北照)で8回11安打9失点、続く準々決勝(対旭川西)でもリリーフで1回を3安打2失点と打ち込まれた。「ワインドアップで投げていたのですが、1、2の3でタイミングを合わせやすいのでは」と疑念が膨らんだ。

 春全道後、軸足の右足にためをつくるため、セットポジションへの変更を決意した。連日、100球以上を投げ、突貫工事で体に染み込ませた。大事なこの日の代表決定戦でセットを初試投。だが、どうにもしっくりこない。「リリースの感覚が違う。変化球も高めに浮く。南大会までの2週間でダメだったら、前のフォームに戻します」と生みの苦しみを味わっている。

 これも今のままでは満足しない、向上心の現れだ。2番手で登板し、1回を無失点に抑えたもう1人のエース玉熊将一(3年)は「投手1人だけで勝ち抜くのは厳しい。南大会までにはしっかり仕上げるはず」と全幅の信頼を寄せる。

 地区2、3回戦の2試合で玉熊は失点1。最後の夏へ順調に仕上がった。西村拓がさらなる成長のため、フォーム変更というギャンブルに成功すれば、北海の2枚看板はさらに強固になる。「3年生は負けたら終わり。この夏は集大成のつもり。南大会まで何とかします」。進化し続けようとするナインの高い意識が、北海の強さを物語っている。【小林明央】