大泉(西東京)になでしこ球児がいた。紅一点の羽石悠里左翼手(3年)は、男子と同メニューをこなすパワフル系女子。冬場の持久走は上位に入り、練習試合では頭部死球もおそれない。「タイムリーを打ったのが彼女だけという試合もある」(木之下敬監督)という男子顔負けの活躍は、さながら「高校球界の沢穂希」だ。

 2歳下の弟につられ小3で野球を始めた。中学は野球部の入部許可が出ず、ソフトボール部へ。だが「物足りなかった。スクイズに重盗、エンドラン、いろんな攻め方がある野球が面白い。あとやっぱり、甲子園があるので」。高校では、野球部へ飛び込んだ。

 規定で公式戦出場はならないが、最後の夏は昨年に続き助監督としてベンチに入る。「一体感を感じます。ゴロしか打てないけど…」と目下ノックの練習中だ。西東京大会は2年連続初戦敗退。「甲子園1回も行ったことないんで、自分たちで行きたいです」。まず1勝。誰より高らかな声援を送る。