<高校野球西東京大会:東亜学園7-1武蔵>◇13日◇2回戦◇八王子市民球場

 やっぱりスター性抜群だ。東亜学園の1番笘篠諒太外野手(3年)が武蔵戦で5打数4安打2打点、1盗塁と活躍。チーム安打数の半分を占める大当たりで、初戦突破の原動力となった。父はヤクルトで89年新人王に輝いた笘篠賢治氏(45=野球評論家)、母はタレント松本典子(44)。2年生の秋までは控え選手だったが、両親が見守る中、高校最後の舞台で大暴れした。

 初めて経験する夏の初戦にも、笘篠は落ち着いていた。「緊張しなかった。今までやってきたことを信じていたので」。初打席で強烈な一ゴロを放つと、第2打席は低め直球を中前に運んで出塁。次打者の2球で「投手が高く足を上げていた。けん制が来ても二塁でセーフになる」と見抜いた。3球目。50メートル6秒0の俊足で二盗に成功した。捕手が送球をあきらめる好スタートだった。

 5回に左前へ、6回に中前へ変化球を軽打で運ぶと、8回1死満塁では中前へ2点適時打を放った。「センター返しを意識していた。自分は転がせば何かある。今日はボールが見えていた」とにっこり。公式戦では自身初の4安打だった。

 自ら望んで野球を始めたが、中学から昨冬までは控えで悩みもあった。周囲に「父がすごかったので自分からは(息子だと)言わなかった。父は父。自分は自分と。(聞かれるのは)嫌だった」。それでも両親に尊敬の念は持っていた。父の現役時代はほとんど記憶にないが、ビデオで見ると「格好いい」と素直に思った。母はタレント松本典子より母親・笘篠美和子を優先し、早朝6時30分集合になると、電車がないため自宅から車で送ってくれた。「苦労させているので恩返ししないと」と感じている。

 最終目標は甲子園だが、まずは4回戦を目指す。父が活躍した神宮のスコアボードに「1番笘篠」を復活させるためだ。好スタートを切ったサラブレッド。ゴールまで走り続ける。【斎藤直樹】

 ◆笘篠諒太(とましの・りょうた)1994年(平6)9月28日、群馬県伊勢崎市生まれ。小学4年から「田柄ボーイズ」で野球を始める。田柄中では「東練馬シニア」に所属。東亜学園では2年秋からベンチ入りし、3年春からレギュラー。愛称「とまぴー」。178センチ、70キロ。左投げ左打ち。家族は両親と弟2人。