<高校野球大阪大会:大阪桐蔭6-0千里>◇14日◇1回戦◇豊中

 センバツ優勝右腕の大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(3年)が150キロ、10奪三振無失点で好発進した。大阪大会初戦の千里戦に先発。5回を投げ3安打を許したものの、3回は圧巻の3者連続奪三振。17人の打者から10三振を奪い、今年の公式戦17連勝に貢献した。視察したスカウト陣も絶賛。史上7校目となる甲子園春夏連覇へ、エースがチームをけん引する。

 春の興奮を、夏によみがえらせた。2-0の3回、3者連続奪三振。この日の最速、150キロストレートで3個目の三振を奪った。

 センバツ準々決勝・浦和学院(埼玉)戦では、同点で迎えた7回無死満塁の大ピンチを、3者連続奪三振で切り抜けた。当時とは試合状況は違う。だが、この日も「序盤は自分本来の投球が出来なかった。フォームなど本来の形をつかむまで時間がかかりました」と苦しんでいた。ここ一番で最高の球を投げ込み、投球を立て直した。

 その裏の攻撃で味方打線は3点を追加した。センバツ初戦から続いている公式戦17連勝につなげた。

 大会前、藤浪は不安を抱えていた。センバツ後は疲労の回復と体づくり優先で、5月27日の近畿大会1回戦・東洋大姫路(兵庫)戦で実戦復帰。近畿大会決勝も勝利投手になったが、登板の少なさは気にかかっていた。6月24日の練習試合・横浜隼人(神奈川)戦で被安打14で8失点と打ち込まれ、以降も疲労性の内転筋痛による登板回避などで思うように投げられなかった。

 西谷浩一監督(42)に提出する野球ノートに「実戦で投げた方が自分は調子は上がると思います」と書いた。「そう感じているだろうと思っていた」と監督も応じ、シート打撃や紅白戦で投げさせた。一方で、実戦経験に劣らないものを、エースは蓄積していた。

 スタンドで後輩を見守った08年夏の甲子園優勝投手、福島由登(青学大4年)は言う。「強化練習ではグラウンドコートを着て練習。よく倒れなかったなと思うくらい、当時はつらかった。でも、あの体力強化があったから夏の大阪、甲子園を乗り切れたんだと思います」。同じ練習を藤浪も経験した。練習はうそをつかない。

 花巻東・大谷翔平(3年)が前日13日に153キロをマーク。センバツで投げ合った相手に目を丸くしながらも「試合に勝てばいいんです」と笑った。夏も最後まで野球をやる。藤浪の夏が日本の夏になる。【堀まどか】