<高校野球大阪大会:大産大付6-1吹田>◇18日◇2回戦◇舞洲

 「浪速のダルビッシュ」は、大阪桐蔭・藤浪晋太郎投手(3年)の他にもう1人いた。大産大付の188センチ右腕、平島和弥投手(3年)が、吹田打線を6安打1失点に抑え、公式戦初の完投勝ち。9回2死満塁のピンチでも、強気な攻めで最後の打者を中飛に打ち取った。「絶対完投したかった」とニンマリだ。

 平島は、身長197センチの藤浪を、同じ長身右腕として意識してきた。大東市にあるグラウンドは、大阪桐蔭グラウンドからわずか150メートルの距離。野球部の寮も隣同士だ。投げ合ったことはないが、シャトルバスに乗り合わせれば「そっちの練習はどう?」と声をかける仲。身近な存在がセンバツV腕となり、刺激を受けないはずがない。

 「共通点があるんで、ライバル意識はあります。上から投げ下ろすフォームを参考にしています。負けないようにがんばりたい」

 小田洋一監督(46)は「今年のチームに投手は3人いますが、平島は制球を乱さないので安定している」と大きな期待をかけている。最速138キロは藤浪の153キロに及ばないが、尻上がりにキレがよくなるタイプ。「もう1人のダル」が、大産大付を悲願の夏代表に導く。【村野森】

 ◆平島和弥(ひらしま・わたる)1994年(平6)9月23日、兵庫・尼崎市生まれ。和弥を「わたる」と読ませるのは、母真紀さん(38)が、妊娠期間中に夢の中でグラウンドに立つ少年に名前を聞き「わたる」と告げられたため。名和小3年から「尾浜シャークス」で野球を始め、大成中時代は「兵尼ボーイズ」所属。大産大付では1年秋からベンチ入り。今春は背番号1で、今夏は10。188センチ、73キロ。右投げ右打ち。