第94回全国高校野球選手権(8月8日開幕、甲子園)の南北海道大会で3年ぶり3度目の優勝を飾った札幌一が23日、約1時間半の練習を行い甲子園へのスタートを切った。菊池雄人監督(40)は一番の課題に、エース知久将人(3年)の復調を挙げた。地区予選から全7試合でフル回転し、決勝で崩れた右腕の「立て直しプラン」作成を示唆。3年ぶりの大舞台へ、必勝態勢を整えていく。

 3年ぶり南大会制覇から一夜明け、早速、甲子園へのプランが頭を駆けめぐっていた。この日の練習開始前、大会の総括を話していた菊池監督が語気を強めたのが、決勝で5回途中降板したエース知久の話題になったときだ。

 「(南大会は)1週間で4試合、しかもタフな試合だったせいか、見えない疲労があったのか原因が分からない。本番までには、いい状態に持っていかないと…」。

 準々決勝の北照戦で7安打1失点、準決勝の北海戦で2安打無失点と、2戦連続完投で最高のパフォーマンスを見せた。ところが、決勝の札幌日大戦では前日139キロあった直球が最高132キロ、しかも高めに浮いた。スライダーを多投したところを狙われ5回途中4失点。チームは逆転勝ちも、それまで6試合43回で失点2の右腕は、期待に応えられなかった。

 それだけに、甲子園での快投復活が最大のカギになる。菊池監督は近々、知久と話し合いを持ち、本人の意見を聞いて再調整プランを構築する。知久は「決勝は球が浮きました。監督さんと相談して今後の調整法を決めたい。北照、北海戦のような自分の最大の力が出せる状態に持っていきたい」と、修正の必要性を認めた。

 知久はこの日はノースローで、南大会ベンチ入りメンバーとともに外野での球拾いを行い、大声で下級生を元気づけた。「球拾いは1年生以来、ここまで来られたのは1、2年生が支えてくれたから」と1日だけの裏方に徹した。大会の疲れが取れる今週半ばごろから、本番に向けた本格調整に入っていく。まずは3年ぶり白星を狙う甲子園での浮沈は、知久の右腕に懸かっている。【中尾猛】