<全国高校野球選手権:明徳義塾3-2酒田南>◇15日◇2回戦

 明徳義塾(高知)は夏の初戦で14連勝。馬淵史郎監督(56)は池田(徳島)の名将、蔦文也監督(故人)を超える四国勢最多38勝を挙げた。

 蔦監督の勝利数を抜いた馬淵監督は「何勝しても蔦監督を超えることはない。ただ(四国で)1番になったのはうれしいね」と歴代単独6位の春夏通算38勝をかみしめた。記念の1勝を贈ったのはエース福丈幸(3年)。8回、1点差に迫られなおも2死一、三塁で、4番下妻を内角速球で二飛に打ち取った。

 「山形大会決勝のビデオを見て、下妻君が外角ばかりを打っていたのを思い出し、攻めた」。高知大会決勝・高知戦前。昨秋、県の準決勝で本塁打を打たれた相手4番の法兼駿内野手(3年)へのリベンジを望んだエースを、馬淵監督は「お前の自己満足にチームを巻き込むな!」と一喝。2敬遠を含む5四球と徹底マークし、代表をつかんだ。

 甲子園初戦は相手4番と全打席勝負し、3打数無安打に封じた。福から記念のウイニングボールをもらった同監督は、お立ち台で誇らしげにボールを取り出した。ところが「なんじゃ、こりゃ!?

 おい、福!

 これ明徳って書いとるやないか!」。明徳義塾と入ったチーム球だった。福は「誰かが渡したから、ウイニングボールだと思ったんですけど」。勝利球は行方不明でも、夏初戦の強さは健在だ。【堀まどか】

 ◆明徳義塾史上2位

 明徳義塾は夏の大会で出場14度すべて初戦突破している。初出場の84年は竹内茂夫監督で、91年以降の13勝は馬淵史郎監督。夏の初戦14連勝は中京大中京(16連勝=継続中)に次ぐ2位。