<高校野球北北海道大会:網走桂陽7-2旭川明成>◇20日◇1回戦◇旭川スタルヒン

 網走桂陽が小学4年から9年間、バッテリーを組む今野悦志投手(3年)、嶋中拓捕手(3年)の活躍で12年ぶり北大会勝利をつかんだ。今野は旭川明成戦で7回1死まで無安打無得点投球。7回1死から四球の後、中越え三塁打を許し、暴投もあって2失点と大記録はならなかったが3安打2失点の完投勝利だ。

 「いつも立ち上がりが悪いので意識しました。3回から6回までは、わくわく楽しく投げました」。5回表に自身が打席に入ったとき、チームの安打数を確認しようとスコアボードを見て無安打に気づいた。「見なきゃ、良かった。欲を出してしまいました」と笑った。

 今野の好投を引き出したのが嶋中だ。「あいつが楽に投げられるようにするのが4番の仕事」。1-0の3回表2死満塁で左前へ2点適時打をたたき出した。リードでも前半はスライダーを多めに、後半は直球主体と的を絞らせなかった。気心が知れた間柄だから遠慮せずに言い合える。7回裏、失点してベンチに戻った今野が「やっちゃった」と言うと嶋中は「バカヤロー、目の前に集中しろ」と一喝した。

 これで前日の遠軽に続き、第1試合で北見北斗も勝ち上がり、北見地区3校が12年ぶりにそろって初戦を突破した。今日21日準々決勝は北見北斗と対戦。北見勢同士でぶつかることになった。今野は「逃げないでコースをついていきます」と、嶋中は「この夏は終わらない予感がします」とつぶやき、にこっと笑った。【中尾猛】

 ◆北大会の北見地区初戦突破

 3校出場になった90年以降で全チームが初戦を突破するのは02年以来12年ぶり2度目。02年は網走向陽、北見柏陽、遠軽が1回戦を勝ち上がり、網走向陽、北見柏陽は4強入りした。2校出場の62~89年は、64、70、72、73、79年の5度、ともに初戦を突破した。