<高校野球西東京大会:東海大菅生12-6日大三>◇26日◇準決勝◇神宮

 快音が、厚い王者の壁を打ち砕いた。東海大菅生が日大三のお株を奪う14安打12得点の猛攻で、11年ぶりとなる決勝に進出した。

 人生初のガッツポーズだった。それだけ万感の思いが詰まっていた。5-5と同点の7回2死一、二塁から、和田浩太朗内野手(3年)が決勝の中越え2点適時二塁打。「絶対ここで決めてやろうと思った」。普段は感情を表に出さない男が、二塁ベース上で右腕を大きく突き上げた。

 雪辱に燃えていた。日大三には春、安打すら打てず0-12で5回コールドで完敗した。「あの負けを忘れたことはなかった」と練習から対抗心を燃やした。負けず嫌いな性格で母千晶さん(42)は「小学生の頃、ソフトボールで三振してよく泣いていた」。だから2度も同じ相手に負けるわけにはいかなかった。

 対策も実った。140キロ超の速球を誇る4投手を擁す日大三を倒すため、140キロに設定したマシンを5メートル手前に置いて打撃練習した。春の負けから3カ月。振り負けることなく、強打を看板にする相手に打ち勝った。和田は気を引き締めるのも忘れない。「まだ甲子園ではない」。頼れる主将はもう、決勝を見据えていた。【上田悠太】