<高校野球茨城大会:多賀2-1三和>◇7日◇1回戦

 雨で一部試合が中止となった茨城では、無名校の多賀が、プロ注目の右腕、石崎剛投手(3年=三和)を攻略。延長10回の末に2-1で破る殊勲の星を挙げた。

 昨夏初戦敗退の多賀が「大物食い」で夏1勝を挙げた。1-1の同点で迎えた延長10回1死満塁、4番吉田裕也内野手(3年)は、松田貴監督(48)に「打たせてください」と直訴した。5回の先制点はスクイズで挙げていた。再びスクイズか強攻策か、4番の気持ちをベンチで確かめた指揮官に、真っ向勝負を進言した。

 三和・石崎剛が「全力で投げた」と振り返る自慢の直球を、中前にはじき返した。松田監督は「いくらいいピッチャーでも試合の中で崩れることがある。そこまで我慢できるかどうか」と試合のポイントを挙げていた。狙い通りの展開で我慢勝ち。校歌を歌い終えると、選手たちはスタンドに向けて猛ダッシュを決めた。

 「大物食い」は松田監督の代名詞でもある。名将橋本実監督(現水城)が率いた水戸商を2度も破った。松丘の監督だった95年は秋季県大会2回戦で、多賀に転勤した96年には夏の3回戦で、3年連続出場を狙う同校に勝利した。当時の水戸商には現ヤンキースの井川がいた。「橋本キラー」と称されたものだった。

 05年夏には石崎剛に似た本格派右腕、山口直弥投手(大東文化大)擁する伊奈から12得点で5回コールド勝ちした。石崎剛との対戦に不安を隠せない選手たちに、前日ミーティングでこの経験を話した。「騒がれすぎて力を発揮できないときもある」と自信を持たせた。

 相手が注目されるほど燃える。その思いは選手たちにも伝わった。松田監督は「この勝利で気を抜かないようにしたい」と、すぐに気持ちを切り替えていた。