<高校野球東東京大会>◇20日◇5回戦

 帝京が国士舘に6-14でコールド負けした。

 神宮第2球場のベンチ裏に響く悲しい嗚咽(おえつ)が、早過ぎる夏の終わりを告げていた。3季連続の甲子園を目指した帝京が、夏10年ぶりのコールド負け。整列に向かう時から流れ落ちた伊藤拓郎投手(2年)の涙は止まらない。「このチームが終わるのは寂しい」と号泣した。

 4試合29イニング無失点だった投手陣が崩れた。先発はエース格の伊藤ではなく、背番号1を背負う山崎康晃投手(3年)。前田三夫監督(61)は「山崎と伊藤の2人で計算していた」と、大会前から決めていた起用だった。4回に3点目を失った直後、無死二塁とピンチが広がった場面で伊藤がマウンドに向かった。

 だが頼みの右腕も、国士舘の勢いを止められない。犠打の後、外角に投じたスライダーを一、二塁間に持っていかれ、続く1番高橋には直球を右中間に運ばれた。4連打されて3点を失い降板。最速は138キロ止まりで「向こうが勢いに乗っている場面。自分が気合で抑えられなかった」と責任を背負い込んだ。

 4投手が計15安打を浴びた上に6四球、野手も5失策と崩れた。熱中症で3人が退場。7回に再登板した伊藤は、最速141キロで2三振を奪ったが、すでに14点を失っていた。「最上級生になるので、秋から夏まで突っ走っていきたい」。伊藤は涙をぬぐい、最後は自分に言い聞かせるように声を絞り出した。