<全国高校野球選手権:関東一9-2佐野日大>◇8日◇1回戦

 関東一(東東京)が佐野日大(栃木)との関東対決を制した。

 甲子園に情熱的なカリブの風が吹いた。関東一の2番渋沢麻衣弥外野手(3年)が50メートル5秒8の俊足を生かして走りまくった。5回2死一、三塁から暴投で先制した直後だった。一塁走者山下のスタートに合わせて二塁へ転がした。足で内野安打とし、貴重な追加点を挙げた。4、9回も内野安打。守備ではダイビングキャッチも見せた。「常に全力プレー」でチーム9得点の猛攻に貢献した。

 プレーの原点には情熱的な音楽がある。渋沢の母幸子さん(56)は、中森明菜の代表曲「DESIRE-情熱-」で86年の日本レコード大賞を受賞した作曲家鈴木キサブロー氏(57)のいとこ。自宅では幼いころから毎日、父哲男さん(55)が愛するレゲエミュージックが流れていた。渋沢も試合前は、ヒップホップで気分を盛り上げる。

 麻衣弥(まいや)という珍しい名前はレゲエ発祥の地ジャマイカのラム酒「マイヤーズ」に由来。妹麻玲衣(まれい)さんの名は“レゲエの神様”ボブ・マーリーから取ったという。カリブ海仕込みの陽気なパワーとリズムに乗せられ、チームは2年ぶりに1回戦を突破した。次に対戦する遊学館(石川)には、昨秋の練習試合で2-11と大敗。「忘れていない。1点でも多く取りたいです」。渋沢のDESIREが再び爆発する。【鎌田良美】