＜全国高校野球選手権：長崎日大４－２北照＞◇９日◇１回戦

　北海道勢は初戦で敗れ、史上２度目の南北北海道対決も夢に終わった。センバツ８強の南北海道代表・北照は、長崎日大（長崎）に２本塁打を浴び惜敗。エースで４番又野知弥（３年）の道勢史上初の春夏連続甲子園アーチも実らなかった。

　最強バッテリーの夏が終わった。北照のエースで４番の又野、主将で捕手の西田。チームをけん引した両輪が、控室で悔しさをにじませた。又野は「仲間と１試合でも多く試合をしたかったけど…。甘い球を投げてしまったのは僕の責任」と唇をかみしめた。

　２被弾が結果的に大きくのしかかった。初回、長崎日大の先頭打者島袋にスライダーを右翼へ運ばれた。同点の４回、フォークボールを７番高尾に拾われ、勝ち越し２ランを献上。最速１４１キロをマークしたが「投球でうまく自分をコントロールできなかった」。

　試合開始直前に約１時間、さらに４回途中に１時間２２分の降雨中断があった。呼吸法やメンタルトレーニングで時間を費やし、仲間には「切り替えて投げるからみんな頼むぞ」と声を掛けた。センバツ２回戦では右手親指に打球が直撃。最後に悔しい思いをしたマウンドは、夏もまた、ほろ苦かった。

　それでも打撃では持ち味を出した。４回、内角高めのシュート回転した直球を強振。今夏、甲子園での最初のスイングで、一時は同点となる１発を左翼スタンドにたたき込んだ。高校通算３５号は、北海道勢史上初となる春夏連続の甲子園アーチ。「打てたとしても勝利に導けないと意味がない」。８回の打ち損じを悔やんだ。

　もう１人の大黒柱、西田は「もう少し打たれない配球をしてあげればよかった。身長も大きく、球も速くて、リードして面白い投手だった」。そう言うと、タオルで顔を覆って号泣した。１つ盗塁を刺し、今夏は１度も盗塁を許さなかった。８回に追い上げる適時打を放ち、意地を見せた。

　夏甲子園初勝利を逃した河上敬也監督（５１）は「力のあるチームなのに、発揮させることができなかった」と悔やんだ。又野、西田はともにプロ志望。又野が「まだ考えられない」と話せば、西田は「対戦？

　もういいですよ。大きくて怖いですもん。バッテリーは組みたいけど」。目を赤くしながら笑顔を見せた。新チームに夢を託した２人が、新たなステージへ向かう。【村上秀明】