<全国高校野球選手権:仙台育英10-7延岡学園>◇15日◇2回戦

 仙台育英(宮城)は、日野聡明内野手(3年)が延長12回に決勝の中前2点適時打を放ち、延岡学園(宮崎)との接戦を制した。

 仙台育英のラッキーボーイが試合を決めた。7-7で迎えた延長12回1死満塁。1回戦の開星(島根)戦の9回2死満塁で、中堅手が落球する“ミラクル決勝打”を放った日野が、中前へ勝ち越しの2点適時打を放った。打順は1回戦の2番から9番に変わったが、満塁で打席が回ってきた。「ああいう場面で回ってくるのはついている」。「ラッキーボーイと呼んでいいかな」と聞かれると「お願いしゃす!」と、元気よく返事した。

 欠場した三瓶のために打った決勝打だった。日野の一打で逆転した1回戦の9回裏、左中間への飛球を好捕してサヨナラ負けを阻止した三瓶が、右肩痛でスタメンを外れた。2年秋から朝練習で、毎日1000スイングを繰り返してきた仲間への思いを胸に、日野は、三瓶のバットを借りて試合に臨んでいた。

 昨春、ノックを受けている最中に右前歯を折り、8万円の差し歯を入れた。それをきっかけに応援歌の歌詞は「差し歯8万円~」というフレーズが入っている、チームNO・1のおちゃらけキャラの日野。だが、次戦の興南戦に話が及ぶと、「挑戦者として圧倒したい。詰まっても何でもいいから、走者をかえしたい」と、表情を引き締めた。【三須一紀】