オホーツクから挑戦-。プロ野球のドラフト会議が明日26日、東京都内で行われる。東農大北海道の韋駄天(いだてん)ユーティリティープレーヤー周東佑京内野手(21)は、9球団から届いた調査書を返信し、指名を待つ。幼少期に「ウサギ追い」で鍛えた50メートル5秒7の俊足を武器にプロ入りをうかがう。

 周東にはヤクルト、DeNA、ソフトバンク、巨人など9球団から調査書が届いた。現時点でプロ以外の進路は頭にない。「打って、走れて、守れる選手になりたい」。ドラフト指名を心待ちする周東を、日本ハムの白井康勝スカウトは「走攻守すべての能力が年々上がってきている」と評価する。

 野球を始めるまで、遊び場といえば、畑と山に囲まれた自宅から自転車で5分の丘の上だった。生い茂る雑草を食べる野生のウサギ3~4匹を、1日2時間も追いかけ続けた。「結局つかまえられないんですけどね。足は速くなったと思います」と笑う。大学入学後、最初の50メートル走計測で5秒7をマーク。打席から一塁到達まではメジャー級の3秒8だ。

 東農大北海道の樋越勉監督(60)は「走るだけならイチロー(44=マーリンズ)よりも速い。絶対にプロに行かせたかった」と周東の入学当初を振り返る。課題だった打力アップを図るため、何度も「強く振れ」と指導。当人も、憧れのメッツ青木宣親外野手(35)の動画を参考にしながら、スイングを繰り返してきた。

 昨夏の全日本大学選手権では、東北福祉大に敗れたものの、チームで唯一2安打を放ち、盗塁も1つ決めた。「あの試合で打撃面の自信がつき、走塁でも迷いがなくなった。プロを意識した」。今春のリーグでは打率3割6分6厘、7盗塁でMVP。内外野どこでも守れる器用さ、野性味あふれる走力に打撃力が備わり、上のステージが視野に入った。「シングルヒットをツーベースにできる選手になりたい」。ラビット級の“脚”で、プロの門をたたく。【中島洋尚】

 ◆周東佑京(しゅうとう・うきょう)1996年(平8)2月10日、群馬・太田市生まれ。太田藪塚本町小2年から藪塚リトルファイターズで野球を始める。東農大二(群馬)3年夏の県大会準優勝。東農大北海道では1年春からベンチ入り。14年の明治神宮大会、15、16、17年の全日本大学選手権出場。道6大学では17年春MVP。家族は両親と姉、妹2人。180センチ、74キロ。右投げ左打ち。

 ◆東農大北海道のドラフト指名選手 指名されたのは96年オリックス5位の栗山聡投手が第1号で、育成を含めると15年の日本ハム3位井口和朋投手、ソフトバンク育成3位樋越優一捕手まで10人。道内の大学では最多で、内訳は投手6人、捕手1人、内野手3人。指名最上位は14年ヤクルト2位の風張蓮投手