サブちゃんの成り上がり伝説は終わらない。楽天福山博之投手(28)が9日、仙台市内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、4500万円増の1億2000万円(金額は推定)でサインした。今季は65試合で、驚異の防御率1・06、4年連続で65試合以上を達成。鉄腕ぶりをいかんなく発揮した。「すごく評価してもらった。来年は70試合以上を目標に、ビール掛けできるように頑張りたい」と笑顔で会見に臨んだ。

 増額分の使い道を問われると、一瞬考え込んだ。そして「大阪の鶴橋に行って、焼き肉をよく焼いて食べたいと思います」と自虐ネタをぶっ込んだ。今年1月の自主トレで「生肉を食べて胃腸を鍛える」と発言し、物議を醸していた。しちりんとガスバーナーも、ほしいものに追加し「よく焼きます」と何度も強調。「好きな肉の部位は、よく焼いた肉」と言い、報道陣の笑いを誘った。

 そんなユーモアあふれる男も、1度はどん底を見た。10年ドラフト6位で横浜(現DeNA)に入団するも、12年に戦力外通告を受けた。2年間でわずか21試合登板。だが、それで終わらなかった。同年に楽天から声が掛かり、第2の野球人生が始まった。

 福山 こうして野球を続けられることを幸せに思う。楽天に拾ってもらったということを忘れることはない。

 今季は、リリーバーだけでなく、負傷離脱した松井に代わり、守護神も務めるなどフル回転した。開幕から36試合で防御率「0・00」を記録するなど、チームの屋台骨として存在感を発揮してきた。「来年もケガなく、1年間戦えるように鍛えたい」と渋い男で在り続ける。どん底からの大台突破。サブちゃんは、まだまだ成り上がっていく。【栗田尚樹】