ギータはやはり規格外だった。ソフトバンク柳田悠岐外野手(29)が11日、宮崎キャンプを訪れた球団OBの野村克也氏(82)から「口撃」を浴びた。アッパースイングで数字を残す柳田に対し「ON(王、長嶋)はダウンかレベルだった」とチクリ。だが、そんな「口撃」もお構いなし。シート打撃では変わらぬアッパースイングで強烈な二塁打を放ってみせた。

 ベンチで直立不動の柳田に向かって、野村氏は強烈に口撃した。「お前のは、アッパー(スイング)だろ。王さんから言われなかったか? 打撃はダウンかレベルだろ? ONがそう打つから、みんなそうしたんじゃ」。柳田は苦笑いしながら「自分ではレベルかダウンでいっているつもり」と返した。野村氏は「そんな打撃で数字を残されたら、野球界が…」と、アッパースイングで15年にはトリプルスリー(打率3割、30本塁打、30盗塁以上)、昨季も同3割1分、31本塁打など高い数字を残すことに理解できない様子だった。

 もちろん、柳田は野村氏から「あんな打ち方マネできない。ONが野球界を引っ張ったように、柳田がこれから引っ張っていって」と、愛情あるエールも送られた。そして、この日から始まったシート打撃で、最初の打席で石川と対戦。初球の直球を豪快なアッパーでのフルスイングでとらえると、右中間最深部へ運ぶ二塁打を放った。「詰まった。普通にアウトと思って走っていた」という本人の手応え以上のパワーで飛んでいった。

 野村氏との会話については「(打撃は)人それぞれ。もっともっと進化したい」と振り返った。実際、スイングの開始はダウン気味に入ることを意識している。V字のような軌道は、柳田独特の持ち味。「もっと練習して、もっともっと進化したい」。まだキャンプも第3クールが始まったばかり。この時期はしっかり振り込み、トレーニングをすることを優先し、さらに強力なフルスイングを目指している。今季もさらに高い数字を残し、野村氏をさらにぼやかせる。【石橋隆雄】