シンカーの真価が詰まっていた。開幕投手を務める巨人菅野智之投手(28)がソフトバンク戦に先発。3回1死、迎えたのは9番城所。カウント0-1から139キロ、新球シンカーは外角へ逃げた。打球は二塁へのボテボテのゴロ。「早いカウントで今日みたく使うのも良い。引き出しの中で持っておきたい」と打ち気をかわし、上位打線につながる前に体力を温存した。

 進化につながる投球内容だった。4回1死、柳田に対して148キロの直球で勝負した。失策で出塁を許したが、直前の高田はシンカーを駆使して4球で仕留めていた。中軸に回る前を省エネで終え、勝負どころで力を込める。4回を終えて49球。「各バッターに意図する配球ができた」と球数軽減への手応えがあった。

 今季初めて実戦で組んだ小林とのコミュニケーションの深化を図る登板でもあった。4連打を浴びて2失点後の5回2死二、三塁。打者上林を追い込むと小林はシンカーを要求した。「あえてです。そういう場面で使えるようになってほしいし、自信を持ってほしい」と真ん中低めに落とし、右飛に抑えた。菅野は「誠司はさすがだなと。開幕でも使えるか試したと思う」と感謝した。

 昨年日本一のソフトバンクに3連勝と弾みもついた。「後は気持ちが入ってくれば、球も2、3キロ速くなると思いますし、変化球も曲がりが鋭くなっていくと思います」と最後の仕上げの段階に来た。30日の阪神との開幕戦に向け、エースが心に神火(しんか)をともしていく。【島根純】