反撃への機運が一気に消えた。巨人が瀬戸際の判断ミスで、広島から連勝を逃した。7回。ゲレーロの1発で1点差まで接近。マギーの中前打で代走に吉川大を投入した。1死一塁で左腕ジョンソンのモーションを盗み、初球という難易度の高い盗塁を成功させた。「勝負の場面。盗塁もして1本でかえれるようにと思った」と戦略を遂行した。

 だが次のプレーが分岐点となった。中井のライトへの浅いライナー性の当たり。吉川大が本塁突入も視野にハーフウエーまでリードを伸ばす。右翼手野間は前進し、グラブを地面すれすれで開いた。それでも落ちると判断し、現布陣屈指の俊足は三塁へ向かいかけたが、打球はグラブに収まった。慌てて頭から帰塁も、相手の返球が上回った。

 同点の好機が霧散し、吉川大は「外野が前に来ていなかったし、1本でかえろうという気持ちで焦りすぎた。もう少し、冷静に考えられたら」と反省し、大西三塁コーチは「ワンヒットで本塁を狙う場面。第2リードも十分。ただヒットと判断するのが少し早かった。代走のスペシャリストになるために経験を生かしてほしい」と次を向いた。

 昨季の代走の切り札、重信を故障で欠く。吉川大は開幕2戦目の阪神戦で1死一、二塁で中堅への浅いライナー性の安打で生還するなど、好判断を見せた場面もあった。高橋監督は「正直、難しい判断だったかなと。結果は良くない結果だけど」と責めることはなかった。黒星を代償に局面の経験を糧にするしかない。【広重竜太郎】