鉄人・広輔だ。広島田中広輔内野手(28)が連続フルイニング出場を442試合に伸ばした。前日17日の試合で右手に死球を受けながら、18日ヤクルト5回戦(マツダスタジアム)も「1番遊撃」でスタメン出場。4打席で安打は出なかったが、2つの四球を選び得点にも絡んだ。守っては飛び込みながらの回転キャッチを見せるなど、ハッスルプレーでもり立てた。死球にも屈しない鉄人「2」号が、4連勝のチームで光り輝いた。

 痛みをこらえる表情も見せず、超然とグラウンドに立った。「1番遊撃」で先発出場の田中は、右手を気にするそぶりすら見せなかった。「打てなくても、自分の役割をしようと思った」。連続フルイニング出場を442試合に伸ばしたことよりも、チームの4連勝に貢献したことでほっとした。

 前日17日ヤクルト4回戦(呉)で右手に死球を受け、試合後には病院で検査を受けた。骨に異常はなかったが「痛みはあります」。それでも試合前にはいつものルーティン。全体練習よりも約1時間早くグラウンドに姿を見せ、ランニングからロングティーを行った。97センチ、950グラムのロングバットを素手で振り回した。「無理だったら出ない。チームのためにならないから」。痛みを言い訳にせず、また記録にこだわる強行出場も否定した。試合前には痛み止めの薬も飲んだ。

 4回、青木のフラフラと上がった打球が三遊間後方へ上がった。懸命に追った田中はダイレクトキャッチすると、勢い余って右手を付いてグラウンドで回転。それでもボールはこぼさなかった。いつもと変わらぬアグレッシブなプレーに「一生懸命やって。そういうプレーになっただけ」とクールに受け流した。

 4打席で安打は出なかったが、積極的に振りにいった結果、2つの四球を選んだ。3回、フルカウントから選んだ四球は追加点につながった。痛みに屈しない鉄人・田中に、緒方監督も「ちょっと力が入っていないみたいだけど、しっかり1番打者の仕事はしてくれている。何より守備で投手をもり立ててくれているので、十分な働きです」と最敬礼だ。打線をけん引するリードオフマンの離脱も免れたチームには、バティスタに続き、鈴木も合流した。役者がそろい始めた広島が、連勝街道を突き進む。【前原淳】