広島の強さはやはり打線にある。特長は「スイッチ」と「つなぎ」。連覇した経験からか、試合の流れを読む力が研ぎ澄まされている。得点機や相手が隙を見せたときにはスイッチが入ったような集中打を見せる。打線全体には「つなぎの意識」が徹底されている。4番鈴木の前を打つ丸がリーグトップの四球を選び、チームの四球数もリーグ最多。この日の試合前までで416個を数えた。「つなぐ意識」が12球団最多28度の逆転勝利にもつながっているといえる。

 ベテラン新井の大きな影響力も欠かせない。チーム最年長がベンチで大声を張り、子どものように喜びを表現する。ベンチの雰囲気は自然と明るく、前向きになる。打席でも泥臭く、執念を見せる。四球を選べば、進塁打も打つ。最高の手本がいることで、若手が自分勝手なプレーに走ることなどない。個人成績だけでは見えない貢献度がある。【広島担当=前原淳】