広島鈴木誠也外野手(24)が、昨年の悪夢を振り払うタイムリーでマジック再点灯に貢献した。DeNA戦の4回、同点打で逆転勝ちにつなげた。前日17日は3者連続本塁打を浴びて逆転負け。鈴木は昨年、同じような試合の翌日に右足首骨折の重傷を負ったが、今年はバースデー白星で飾った。チームは連敗を2でストップ。2位ヤクルトが阪神に敗れたため、優勝マジック「30」を1日で再点灯させた。

 鈴木は勝利の試合後、球場裏の通路を歩きながらつぶやいた。「去年はああいう感じで次の日にけがをしたので、今日はけがしなかっただけで良かった」。1年前のことを思い出し、無事に1日を過ごせたことに感謝していた。

 昨年8月22日に、横浜でチームが3者連続本塁打を浴びてまさかのサヨナラ負け。その翌日、鈴木は2回の守備でジャンピングキャッチをした際、着地時に右足首を痛めて途中交代。病院で「右脛骨(けいこつ)内果剥離骨折」と診断された。今年も前日17日に同じ球場で3者連続被弾の逆転負け。一夜明け、嫌な記憶が頭をよぎっていた。

 この日、試合前に球団関係者に指摘されると「今日も(去年と同じ状況で)大瀬良さんが先発ですもんね」と苦笑いで返していた。プレーボールがかかると、その2回にアクシデント。筒香の飛球を薄暮で見失い、二塁打にしてしまった。それが先制点につながった。だが、取り返した。

 1点を追う4回1死一、二塁から浜口の内角カットボールに反応。詰まったが、振り切っただけ打球は一塁の頭を越えてポトリ。同点二塁打となった。「初回に守備でミスをしてしまったので、何とかランナーをかえすことが出来て良かった。打点になって良かった」と振り返った。

 続く松山に勝ち越し打が出て、終盤にも加点し逃げ切りに成功。鈴木は24歳の誕生日を勝利で飾った。そして体は無事。前日の嫌な負けと、自らの悪夢を振り払うことができた。「自分たちのやることを見失わないようにしていけばいいと思う。変な負けをすると焦ったりする。バタバタしているのがベンチからも出てた。焦る必要もない。冷静に自分たちの野球をやれれば」。落ち着いた受け応え。まだ若いが、カープの4番らしく、心身ともに成長している。【大池和幸】