37歳が、異様なプレッシャーに襲われた。2回1死一塁。ネクストで待つ日本ハム鶴岡慎也捕手(37)は、静かに確信していた。「打つんだろうな…」。予感的中。二塁打を放った前打者の清宮を確認し、スイッチを入れた。打席に立つと1度もバットを振ることなく、球筋に集中。5球目。139キロのシュートをしぶとく中前にはじき返した。二塁走者の清宮も迎え入れる先制2点適時打。一塁ベース上では淡々としながらも、心中は波打っていた。

「今日1日通して、皆さんが注目している清宮幸太郎選手がめちゃくちゃ打って、常にチャンスでもまわってくるので緊張して打席に入りました」。試合後のお立ち台では、ジョーク交じりに告白した。18歳差のホットラインは、3点リードの4回にも続いた。先頭の清宮が二塁打でチャンスメーク。再び清宮を本塁に生還させる中前適時打。新人に引っ張られるように今季2度目の3打点を挙げた。ヒーローインタビューで明かした「来た球を打つ。思い切っていっているだけ」に、栗山監督は「配球を考えないのは、逆に超一流の打者」と称賛した。

打撃技術をはじめ、チームのためにプレーする清宮の姿に「僕が19歳の時と比べたら雲泥の差」と笑った。9歳下のマルティネスとのバッテリー時は打率2分2厘で「ちょっと気にしていた」が、この日は攻守で支えた。観衆3万7777人に誓った「必ず優勝出来るように頑張ります」との思いを実現させる、勝負の秋が迫っている。【田中彩友美】