ソフトバンクのドラフト1位甲斐野央投手(22=東洋大)がオール直球で西武の山賊打線を無失点に抑えた。6回に3番手で登板。1番秋山から始まる上位打線に1安打を許したが、わずか8球で料理した。加治屋が出遅れている中、剛腕ルーキーが重要なポジションである「8回の男」を任される可能性も十分出てきた。

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甲斐野が山賊の上位打線を相手に、真っ向勝負を挑んだ。6回に登板すると、先頭打者は1番秋山。「ブルペンで打順を確認して上位だとわかった。自分の直球がどこまで通用するのかという絶好のチャンスだった」。緊張するどころか胸を躍らせマウンドへ。この日最速157キロを3球続け、遊ゴロ。続く源田に中安を許したが、外崎を左飛、山川は遊ゴロ。それぞれ153キロ直球で圧倒し、1球ずつで仕留めた。前夜は武田や中田が炎上し、13安打11得点の猛攻を受けた。その強力打線をねじ伏せた。

8球すべてが直球。最速160キロとはいかなかったが、堂々たる投球だ。「この前(3日阪神戦)よりもよかった。球速よりももっと質を。初球から前に飛ばされないように直球を磨いていきたい」と、ファウルで差し込めなかったことを反省。大学時代までほとんど筋力トレーニングをしなかった。抜群の潜在能力がある。指導に当たる高西トレーナーは「やったことがないのでまだ弱いが、クセがない。やる気もある」と伸びしろが大きいと話す。

オール直球勝負で、開幕3連戦で対戦する西武に手の内を見せなかった。甲斐野は「シーズンに入ると相手のレベルも上がるので」とその意図を明かした。工藤監督は「直球だけで抑えるのもいい。すべてを見せないのは、いいことじゃないですかね」と評価した。

この日は9回を昨年の守護神森が3人でピシャリと抑えた。昨年、8回を投げた加治屋が出遅れている。右股関節手術明けのサファテは開幕に間に合うか不透明だ。キャンプから衝撃の投球を見せる甲斐野が「8回の男」に抜てきされる可能性は十分にある。工藤監督は中継ぎ陣に対し「ここからは1回、1回集中して投げてもらいたい」とハッパをかけた。開幕1軍へのふるい落としが本格化する。甲斐野は練習試合から3試合すべて1イニング無失点と安定感は抜群。このままの勢いで19年の勝利の方程式へ入っていく。【石橋隆雄】

◆甲斐野の西武戦VTR 2月27日の練習試合・西武戦(宮崎アイビー)で対外試合初登板。9回に登場し、最速155キロを計測。木村のバットをへし折るなど1回を1奪三振無安打無得点に抑えた。対戦した打者は山田、中田、木村と主力クラスではなかった。2戦連続の無失点投球でレオキラーぶりを見せた。