日本ハムはロッテとのオープン戦(鎌ケ谷)で、スタメンに左打者を5人並べた。1番浅間、2番西川、3番近藤、5番王柏融、9番中島。チーム14安打中、中島を除く4人で10安打、4打点をマークした。栗山監督は「もっと並べたかった。並べきれなかったな」と意味深長に振り返った。

打線を左打者で固めていく「左地獄打線」が19年パ・リーグを勝ち抜く武器となる。

昨季、パの先発投手で規定投球回をクリアした左腕は西武菊池ただ1人。剛腕がマリナーズへ移籍した今季は、各球団の先発サウスポーは手薄な状況。打線を組む上で、左右の打者を交互に並べるジグザグ打線がセオリーとされているが、当てはまるとは限らない。

現状に適する打線が組めるチーム状況でもある。日本ハムは左の好打者を多く抱えていて、タイプも豊富だ。西川や浅間はスピードと意外性のあるパンチ力が売り。同タイプに石井や谷口、岸里、平沼も控える。近藤や王柏融は確実性の高さが突出している。中島には粘り強さがあり、田中賢には経験値や存在感がある。長距離砲の清宮が右手有鉤(ゆうこう)骨の骨折で離脱したのは痛いが、同タイプに森山がいる。

昨季は右の強打者である大田を2番で起用し、一定の成果があった。そのオプションも残しつつ、栗山監督は「全ての形を見て、決めていきたい」と幅を持って見極めていく考えだ。多彩な左打者がそろう陣容、ライバルの投手陣の現状、球界屈指の知将のアイデア。全てがかみ合えば、日本ハムの「左地獄打線」が旋風を巻き起こす可能性は、十分ある。【木下大輔】