「ハマのスッパイマン」が、開幕ローテをほぼ手中に収めた。DeNAドラフト1位上茶谷大河投手(22=東洋大)が7日、中日とのオープン戦(ナゴヤ)に先発。平田、アルモンテ、ビシエドら主力を相手に4回をパーフェクトに抑えた。対外試合デビューから8イニング連続無失点。29日から始まる中日との開幕3連戦(横浜)で、本拠地デビューする可能性が高まった。

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「梅が好き」と公言するスッパイマン上茶谷の投球からは、酸味ではなく玄人感が漂った。まずは初回を3者凡退。1点リードの2回先頭からは、昨季の首位打者ビシエドに3球直球を続けて、最後はスライダーで二飛。2死走者なしからは高橋を真ん中低めのチェンジアップで腰を引かせ、空振り三振。予定は3イニングだったが、3回終了時で40球。球数が少ないこともあり、1イニング追加しても、4回パーフェクトでマウンドを降りた。

上茶谷 結果だけ見ればいい。でもストレートの調子がいまいち。力みで突っ込み、抜けていたところが前日からの課題だった。その中で、変化球で抑えられたことは良かった。

ルーキーとは思えない切り替え。思考の高さに加え、実践力が備わっている。最速145キロの直球に頼り切ることなく、カットボール、チェンジアップなどの変化球を自由自在にコーナーにちりばめた。

キャンプ中から、その高い制球力は証明していた。球団はブルペンで球の回転やリリースポイントなどを計測する「トラックマン」で投球データを測定していた。数値は発表していないが、関係者によると「1軍投手の中で一番リリースポイントが安定していた。それだけコントロールが優れている」。あらためてそれを証明した、4回52球の無四死球ピッチだった。

対外試合デビューとなった2月20日のロッテとの練習試合(2回パーフェクト)同26日の韓国KIAとの練習試合(2回1安打無失点)に続き、8イニング連続で無失点を続ける。開幕カードの中日相手に結果を残し、三浦1軍投手コーチも「もちろん候補の1人」と29日からの開幕3連戦(横浜)でデビューする可能性を否定はしなかった。昨年は東が開幕5戦目の本拠地でデビューした。上茶谷もその歴史に続き、本拠地で初登板を迎える可能性はある。その場合、3戦目の31日が有力となる。

梅好きが高じ、キャンプ中に近くのラーメン屋で「梅つけ麺」を6度も食べた男は「今の数字は関係ない」と浮かれることはない。本拠地のファンを前に相手打線を“スッパイ”結果に抑える日は近い。【栗田尚樹】

▽DeNAラミレス監督(上茶谷について)「素晴らしい投手。去年の東に似ている。6、7回は間違いなくいける雰囲気がある」

▽中日平田(上茶谷について)「真っすぐ、変化球とも、間違った球を投げていない。制球のいいピッチャーだ」

▽中日ビシエド(上茶谷について)「いい投手だと思う。対戦したことが、プラスになるようにしたい。次は打てるようにしたいね」

▽中日京田(上茶谷について)「真っすぐがいい投手。さすがドラフト1位」

▽中日与田監督(上茶谷の投球に)「左右の投げ分けのコントロールがうまい。球種によってフォームも変わらない。大学の時から見ていたけど、しっかりと警戒したい」

▼オープン戦初登板の上茶谷が4回をパーフェクト。オープン戦初登板で4回以上を完全に抑えた新人は00年3月3日高橋尚(巨人)以来、19年ぶり。高橋尚は初登板のダイエー戦で5回を完全に抑えて勝利投手となった。昨年の東(DeNA)はオープン戦3試合で8回1/3を無失点と結果を残して本番の新人王へつなげたが、上茶谷はどうか。